11月連休はいつもなら仕事が入り遠征しないのだが、今年は仕事入ってないし暖かいのでまだ行けるかなと思い、錫杖岳に行くことにする。
錫杖に行き始めたきっかけは、「注文の多い料理店」を登れるようになりたいという目標を相棒ともったからだ。やっとチャレンジできる日がやってきた。
また、「見張り塔からずっと」というルートは本峰に登り詰めることができ、アルパインチックでとてもいいということを聞いてから、いつか行きたいと話していた。
今回は、この2ルートを登ることにした。
天気に恵まれた3連休だったので、出合のテン場も激混みだった。
【11月2日】 快晴
笠ヶ岳クリヤ谷登山道口(6:10)-錫杖沢出合、テント設営(8:00-8:30)ー注文の多い料理店取付(9:00)ー登攀(9:30ー13:15)-テン場(16:00)
注文の多い料理店は、オールナチュラルプロテクションとなっている。
今シーズンはOさんが加わりリードしてくれるので、自分はなかなかリードする機会がなく、リードできるかなと不安になっていた。
いきなり自分が1ピッチ目を行くこととなり、心の準備ができてないままにスタートする。自分は1、2、5ピッチ目をリードさせてもらった。
1ピッチ目 30mⅣ 階段状、草付きテラスで終了
2ピッチ目 20m5.8 フレーク状 クラック~フェースを右上、枯れ木テラスで終了
3ピッチ目 40m5.8 コーナークラック
4ピッチ目 40m5.8 コーナー左のハンドクラック~プッシュ
5ピッチ目 40mⅣ+ スラブ状フェース (途中から左方カンテと合流する)
6ピッチ目 50mⅢ ルンゼ~短いフェース
核心は3、4ピッチ目。3ピッチ目は、いきなりのコーナークラックで、かなり広くて長いので、大変だった。ジャムは効かないので、肘や膝、体を使って、登りこむ。自分がリードするにはまだまだだと感じた。古い残置ロープがあり、今まで登った人の苦戦の跡がうかがえたが、ちょっと邪魔だった。
4ピッチ目は、垂壁のクラックで怖そうだが、思ったよりも登りやすかった。でも、リードとなると、やっぱりまだ無理かな。
5ピッチ目の途中から左方カンテと合流するので、終了点は激混みとなる。注文も6パーティくらいいたし、左方カンテも大盛況だった。
3、4ピッチ目はとても練習になるので、何度でも登りたいルートだと思った。ここをリードできるようになると、かっこいいだろうな。
激混みに加え、私にはハードな核心だったので写真があまり撮れず、懸垂下降時に登ってくるパーティを写真におさめた。
【11月3日】 霧雨後曇り
テン場(5:30)ー見張り塔からずっと取付(6:15)登攀開始(6:45)ー終了(13:40)ー山頂14:30ー下山-テン場(16:44)
見張り塔からずっとは、前衛フェース左脇に食い込む北沢の大滝側壁から長い岩の斜面を登り、本峰フェースまで繋げるルート。10ピッチ近くに及ぶスケールをナチュラルプロテクション主体で登る。
1ピッチ目 40m5.6 フレーク~フェース
2ピッチ目 20m5.6 スラブから凹角右のカンテ~スラブを直上
3ピッチ目 50mⅣ 滝の左のスラブ~ガレ場~階段状
4ピッチ目 50mⅢ クラック~凹角~スラブ
5ピッチ目 50mⅢ スラブ
歩き 100m~ 尾根を少し行き、左に下りてルンゼを詰め、大洞穴へ
6ピッチ目 30m5.9 黒い前傾壁~クラックを登り大テラスへ
7ピッチ目 25m5.9 凹角~右にフェースをトラバース~左上
8ピッチ目 50mⅡ スラブ
9ピッチ目 60mⅢ 草付きルンゼ
10ピッチ目 25m5.8 クラック
自分は2、3、7、9ピッチをリードさせてもらった。
1ピッチ目は、いつもは濡れていてグレードより難しいそうだが、今日は乾いていてコンディションがよく、難しくなかった。なんてラッキー。
2ピッチ目は、見た目より難しかった。悪いところにはハーケンも有ったが、先行パーティが支点を使ってしまっているため使えなかった。カムもなかなか効かせづらい岩肌だったたため、慎重に登った。
3,4ピッチ目は傾斜が緩いので、大丈夫だった。1箇所、クラック付近が支点が取れず、リードするには怖いかなと思う。
笹藪を突っ切って踏み跡をたどり、ルンゼはコンテで登り大同穴へ。
6、7ピッチ目が核心。
6ピッチ目はOさんがリード。少し前傾しているクラックだが、フェースムーブで登れるので、ジャミングしなくてもよかった。でも、ここもリードとなると無理だな。まず、カムを決められるか自信がない。そのあとの、左上するクラックは、どうジャミングしたらいいか(順手?逆手?)わからなくなり、レイバックしながら登った。けっこうきつかった。
7ピッチ目も5.9なのでリードはお願いしようと思っていたが、見てみたら行けそうなチムニーだったので、自分がリードすることにした。 カムも決めやすかったのでよかったが、チムニー後の右へトラバース~左上がカムが決められず、苦戦した。小さいカム1個に命を預けて踏み込むのが怖かった。でも、ここをリードしたことで、このルートの達成感が自分の中ではとても高まった。頑張って挑戦してよかったと思った。
10ピッチ目は3本ほどクラックが走っており、たぶんトポの5.7(右かな)よりも難しい真ん中(5.8くらいはあるかな)を登った。見た目よりも難しく、最後まで気が抜けなかった。
稜線へ立つと何もなかったが、少し歩くと山頂のピッケルがあった。あった、あったー!ここに立ちたかった。このピッケル、見たかった!北アルプスの稜線を眺めると、穂高は今日も白かった。美しかった。みんなありがとう!
下山は踏み跡を辿り、牧南沢を下りた。
長いルートだが、やっぱり山頂に登り詰めるのはいいなあと、みんな口々に言っていた。素晴らしいルートでした。
【11月4日】 晴れ後曇り後小雨
テン場(5:40)ー笠ヶ岳クリヤ谷登山口着(6:45)ー車で移動ー焼岳中尾高原ルート登山口(8:00)ー山頂(11:00)-登山口着(13:00)
朝起きると、霧雨。体もあちこち痛いけど、特に指先が痛い。なんか力が入らない。今日はゆっくり下山して温泉でも。。。と思ったが、そうはさせてはくれなかった。「焼岳に行ったことある?」と聞かれ、「無い。」と言うと、焼岳に行くことに決定。
下山して、車で移動して、焼岳登山開始。ムキタケをゲットしながら、整備されたきれいな登山道を登る。樹林帯から火山ガスが吹き出している登山道へと変化して行くので、飽きなかった。
山頂には上高地ルートから来た登山客がたくさんいてびっくりした。ずっと雲の中にいた穂高の稜線も顔を出してくれ、また穂高に感謝した。
3日間充実した山行ができて、とても満足して秋のクライミングを終了した。目標達成できてうれしかった。今度は核心ピッチをリードできるよう、また努力したい。
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