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甲斐駒ヶ岳 赤石沢奥壁 中央稜

【11月21日】 晴れ、強風
竹宇駒ヶ岳神社P 9:07-七丈小屋15:58

甲斐駒はぜんぜん雪がなく黒かった。アイゼンか、クライミングシューズか悩んだが、練習のために車にクライミングシューズを置いて出発する。
赤石沢奥壁は初めて行くエリア。
七丈小屋には、また花谷さんがいらっしゃった。中央稜にアイゼンで行くと伝えたら、「えっ?(なんで?雪ないのに。)」と苦笑いされる。アイゼン登擧だとだいぶ難しくなる。花谷さんは「核心の3ピッチは人工と書いてあるけど、1手だけだから(あぶみなしでも行ける)。」と、アドバイスをくれた。
3連休なので、テン場(上、下)には3張と7張、テントがあった。風が強いのでしっかりとテントを固定する。トイレや水場には消毒液が置いてあり、コロナウイルスに小屋も神経を使っていた。テントの受付をする時も、マスクとソーシャルディスタンスは当たり前。これからの山小屋は、こういうふうになっていくのかな。

 

【11月22日】 晴れのち曇り
テン場6:34-8合目岩小屋7:28-取り付き7:50-登擧開始8:30-4ピッチ目終了12:30-ブッシュ帯-登山道合流14:40-山頂15:00-テン場16:30

昨日までの強風はおさまり、穏やか。8合目を過ぎたあたりから雪が出てきた。踏み跡を辿り、岩小屋の前を通って下っていく。赤石沢奥壁に圧倒される。Oさんは以前、取り付きまで偵察に来たことがあったので、迷わず行けた。雪はなかったので、ほっとする。

トポによると、左ルンゼと右ルンゼの間になるブッシュの密生した大きな岩稜で、下部4ピッチが実質の登擧対象。初心者向きのルートとはされているが、各ピッチはⅣ+~Ⅴ程度のクラック主体で、慣れていないと意外と手こずる。3,4ピッチ目が核心。フェース、チムニー、クラックと、なかなか難しい。大き目のカム類があると心強い。ブッシュ帯に入ると後はほぼ右ルンゼ側を登るが、途中所々、Ⅳ級程度の岩登りも出てくるので最後まで気は抜けないとのこと。

 

◆1ピッチ目 スクイズチムニー、クラック、凹角、フェースを直上 40mⅣ
見た感じそんなに難しそうなクラックではないが、取りついてみるとなんか素直でないクラックで、思ったより大変だった。「スクイズ」という言葉が気になり、下山後調べてみたら、「押し込む、搾りだす」とのことだった。なるほどね。アイゼン登擧だからかもしれないが、まだ核心でないのに1ピッチ目から辛かった。アックス持ってきているが、ドライでは無理。手で登らないと登れる気がしない。天気がよく暖かく、素手で登れたのが幸いだった。

◆2ピッチ目 草付きフェース 40mⅡ
Ⅱ級だと思ってなめてかかって登ったら、予想以上に辛くて、ほんとにⅡですか???って、Oさんと意見が一致。クライミングシューズならスメア効かせて登れるが、ホールド、スタンスほんとにないので、アイゼンでは大変だった。甘く見ていて二本爪で来てしまったので、モノポイントだともっと足に乗ることができたと思う。反省。

◆3ピッチ目 フェースを人工で超えスクイズチムニー 40mⅣ+ A1
いよいよ核心。花谷さんが言っていた一手は、自分にとっては一手どころではなく、迷うことなくあぶみを使った。Oさんは「A0で行ける。」と言っていたけど、一応あぶみを持ってきていてよかった。結局、Oさんもあぶみを使った。もう少し凍って雪がついていると、また少しレベルが下がって登りやすくなるとは思うが、アイゼン登擧の難しさを思い知った。花谷さんの「一手だから。」というのは、.13クライマーだからそうであって、自分たちのレベルをわきまえずに話を鵜呑みにしてはいけないと肝に銘じる。

◆4ピッチ目 凹状フェースからクラック 30mⅣ+
そして、またまたクラック。アイゼンだと足ジャム決められないので、どうやって登ろうかと思う。上からOさんの「このピッチ、めっちゃ楽しーい!」という声が聞こえてくる。簡単なのかと思ったら、やっぱり自分には難しかった。クラックの中にスタンスがあるが、態勢が悪く体を引き上げられない。ぜんぜん楽しいと思えず、必死に登った。カムの5番か6番があると安心感あり。

◆あとはブッシュ帯を300m(途中露岩あり)
最初の1ピッチ目だけ、念のためスタカットで登り、あとはコンテでどんどん登った。最後の最後にホールドがない草付きの乗越があり、ここでやっとアックス登場。登山道に合流した。

 

アイゼン登擧は、八ヶ岳の中山尾根や小同心クラックなどでは楽しく登れるのに、中央稜は手ごわかった。赤石沢奥壁のレベルの高さを痛感した。中央稜で初級ルートなのだから、左ルンゼってどれだけ難しいのだろう。(数年前にN川山岳会のIさんに誘われたが、行かなくてほんとによかった。)実力不足を痛感した。

登山道に出ると雪が積もっていた。もう遅い時刻だったので、山頂には誰もいなかった。

 

【11月23日】 曇り時々小雨
テン場7:00-竹宇駒ヶ岳神社P 11:00

夜中は小雨が降り続いた。予報では今日が一番天気がよいはずだったのに、朝になってもすっきりしない天気だった。昨日が最高の天気だったことに感謝した。
Oさんは、「冬にまた来よう。」って言ったけど、ん~。。。と考えてしまう自分だった。

 

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