ふくろう

南八甲田BC櫛ヶ峯2本(南東尾根・東斜面)

4月15日(土)に、単独で沖揚平のスノーシェッド脇から入山し、横岳経由で櫛ヶ峯へスキーで行ってきました。

その時の行動と心の記録をヤマレコにアップしました。
滑走中の視点を撮った360°カメラの動画もありますのでぜひ。

https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5368995.html


文章中に「解放感」というワードがありますが、今回のサイトリニューアル後の「たがじょを知る」のところにあった、「解放」というテーマと、今回の自分の滑走にとてもリンクするところがあったので、こちらにも記録を上げることにしました。
(新しいサイトのトップページ、とても格好良いですし、だいぶ使いやすくなりましたね!大変な作業だったかと思います。携わった方には感謝申し上げます。)

以下はヤマレコ感想欄からの抜粋です。

午後から天気が崩れる予報だったため、思い切って日の出スタートの横岳経由で櫛へ。
遥々行く櫛ヶ峯なのに、その大斜面を登りルートに戻すための消極的な滑走で終わらせたくなかったので、あくまでも目的は滑走。
そんなわけで、1番興味があった南東尾根と、東斜面のど真ん中ラインの2本を、登り返し覚悟で計画に練り込んでみた。

初めて滑った長い長い尾根は、前半は足元を探るようにやや慎重に、後半は思い切って縦に落として一気に滑った。
滑り終えたC1,353付近は山深い感じがして、また晴れて暖かだったこともあり、とても気に入った。

ところが私は緊張していたようで、シールを前後逆に3回も立て続けに間違えて貼ってしまった。
なんだったのかよくわからないけれど、とにかくそんな調子だったので、その3回失敗したシールの方が登り返しの途中で剥がれてしまった。
剥がれ出すとまず音でわかる。
思い出したくない間の抜けた嫌な音がする。
おまけに右足裏も痛みだした。

2度目の山頂も、まだ誰もいなかった。
強風で心細かったけれど、心を落ち着かせてやるべきことをひとつずつこなしていった。
まずシールをスクレーパーで丁寧に水切りして、さらに化繊のミニタオルで接着面の水分を拭き取ってからザックにしまった。
板の滑走面には簡易ワックスを塗った。
食欲はあまりなかったけれど、少し食べてたっぷり水分を補給した。
次に雪のない山頂広場まで再び歩いて行って、岩に腰掛けて痛む足のブーツを脱いでマッサージとストレッチをした。
一つ一つの作業が面倒で仕方なかったけれど、これらを省くと絶対に痛い目に遭うことがわかっていたので、黙々とやるべきことをやった。

そして2本目の滑走。
ど真ん中以外に候補はなかった。
幸い上から下までよく見えて、先行者のシュプールもある。
今度は最初から全力で行った。
素晴らしいザラメの斜面を、風になって滑降した。
いつもは見られたくない私だけれど、はじめてこの姿を誰かに見てほしい、と思った。

滑り終えて再びシールを貼る。
雪がつかないよう充分注意を払って、今度はしっかり接着できたことを確認した。
右足の痛みも無くなっていて安堵した。

ところがそのあたりで、東からやってくる雲がどんどん山を呑み込んでいることに気がついた。
雲は低く、自分と同じ高さにあった。
急に不安と焦りが襲ってきた。
行きで目星をつけてあった、雪庇下のほんの数メートルの急傾斜トラバースが恐ろしく長く感じ、谷足がずるっとするたびに(こんなところ、滑走モードなら一瞬で通過できるのに…!)と無性に苛立った。
今季体で覚えた、ザラメ急斜面でエッジをしっかり噛ませるためのコツを総動員し、とにかく丁寧に慎重に通過した。
この滑落が許されないほんの少しのトラバースが、この日1番の核心だった。

その後は来た道を戻るだけ。
登り返した横岳では多くの人に出会い、その中にはよく知ったガイドさんなどもいて嬉しかった。
横岳からの最後の滑走は、ひと言で表せば解放感。
15分で車まで戻ってこれた。

蓋を開ければ様々なアクシデントや困難があったけれど、一応計画は成功に終わり、大きな安堵と達成感に浸ることができた。
ソロは危ないと言われることが多いけれど、私はソロで多くのことを学んでいる。
なぜならひとつひとつの判断が、大袈裟に言えば命懸けだからだ。
そのくらい真剣な気持ちで、山と自分に対して向き合っているということを、単独行を愛する人(例えばこの日出会ったOさんもそんな1人だ)なら、きっと共感してくれることだろう。

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