【12.23】 ガス+風
西穂高岳西尾根を計画していたが、悪天の予報だったので、八ヶ岳へ変更。ルートは相棒におまかせする。
12時過ぎに赤岳鉱泉小屋に到着。テントを張った後、アイスキャンディー(人工氷壁)で、アイスの練習をする。気温が高いため、あまり氷がしまっておらず、裏面は使用禁止となっていた。
【12.24】 ガス
■横岳西壁中山尾根■
明日は早めに切り上げて下山しなければいけないので、今日は時間がかかりそうな中山尾根にする。
中山乗越から登山道を外れ、樹林帯を主稜線へ向かう。トレースが下がっているのでなんで?と思い、まごまごしていると、後ろのパーティがどんどん樹林帯を上がっていった。ガイドパーティのようだ。
1時間ほど登り詰めると下部岸壁の取付があった。全ピッチ相棒がリード。
●1ピッチ目 右の凹角~フェース Ⅳ
取付で先行パーティ(3人)が登るのを1時間弱待った。右の凹角の出だしが一枚のつるつるの岩で、アイゼンの爪が全く効かない。左にある細い隙間にアックスを上手く使っていくしかない。先行パーティ女子2人があえいでいたのも納得。いきなり手強いので、大丈夫だろうかと不安になる。なんとか腕登りで乗り越える。
●2ピッチ目 垂壁を左から巻いて凹状フェース~草付き Ⅳ
特に難しいところはない。ただ、草付きの始めがとても傾斜が強い。
●3ピッチ目 雪稜~岩稜 立木や岩角にランナー取る。
●4ピッチ目 凹角左のフェース~かぶった凹角 Ⅳ+
ここから上部岩壁。チムニーっぽい短いクラックがあり、体を入れすぎて登れず落ちてテンションかける。。。ふ~と深呼吸をしてスタンスを確かめ、右足を外に広げて、再挑戦。なんとか登れた。その後はかぶっているが、アックスをしっかりかけられる岩を探すことができたので、思いっきりいけた。
●5ピッチ目 草付きまじりの岩陵
●6ピッチ目 ハング~リッジ Ⅲ
ハングといっても小さいので、それほど難しくなかった。
右にトラバースして、登山道と合流。地蔵尾根を下った。
思ったより手強くて、登り甲斐のあるルートだった。それもそのはず、資料には、八ヶ岳の中で最も難しい岩稜(アルパインルートでという意味。クライミングルートではない。)のひとつとある。部分的に難度が高いところが数カ所あるので、なんか難しく感じた。
人気のルートだというのに天気が悪かったせいか、2パーティしかいなくて、ラッキーだった。
鉱泉小屋まで帰るとき、ガイドさんとお話して帰った。どのルートもトレースが無いと取付までのアプローチがわかりづらいとのこと。今年は、もう裏同心ルンゼ(アイス)も雪で覆われているし、ジョウゴ沢もまだ凍っていないとのことだった。
【12.25】 晴れ
■石尊稜■
横岳西壁の中では易しい初級バリエーションルートだが、核心である下部岸壁はスラブ登攀で手強く、グレード以上に難しく感じると資料にあった。
鉱泉小屋から中山乗越に向かうと橋があり、その沢を詰める。トレースあり。途中の二俣を右、次の二俣の間の尾根が石尊稜。左の沢を行くと三叉峰ルンゼ。右の日ノ岳ルンゼを少し詰めてから稜に乗った。
●1ピッチ目 草付スラブ左上~草付き Ⅳ
足場のないスラブ壁は、所々ある草付を利用して登るが、とにかく悪い。アックスもアイゼンの爪もかからなくて、どうやって相棒はここを登ったのかと尊敬する。本当にこれで初級?というほど、悪かった。ここが核心だった。草付がでてくるとアックスが利き、ほっとした。一昨年登った赤岳主稜がとっても簡単に思えた。
●2・3ピッチ目 急な灌木帯の草付き~雪稜~雪壁
アンザイレンとコンテで。灌木が少なくなり、美しく長い雪稜に目を奪われる。
●4ピッチ目 凹角~階段状
特に難しいところはない。 北・中央・南アルプス、全開で見とれる。
三叉峰ルンゼを詰めてきたパーティが合流し、先行する。(このパーティ、昨年末、奥穂高に行く途中の涸沢西尾根で会って、会話を交わしていたことが後でわかる。私の津軽弁が記憶に残っていたらしい。山って狭い。)
●5ピッチ目 浅い凹角から階段状。リッジの背へ
岩角を残置支点に。
●6ピッチ目 ガリー~草付
ガリーを右上。緩傾斜を登る。
登山道に出たら、雲上に富士山が待っていた。先行パーティと写真を撮り合う。地蔵尾根を下りた。
数日前の雨で岩にはベルグラ(薄氷)ができ、アックスがしっかり決まらず、怖さが増した。もう少し氷が厚くなるとしっかりアックスが決まって安定した登りができるのではないだろうかと感じた。冬山は、条件によって難しくも簡単にもなるということだろう。どちらのルートもダブルアックスの有効性がとても感じられ、有意義な練習だった。
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