2026年2月下旬、南八甲田のトドマツ岱で、堀込式イグルの中にツェルトを設営して泊まりましたので、築造作業の様子を紹介します。なお、「堀込式イグル」の築造概念と作業手順につきましては、本ノートに別途掲載しております。

堀込式イグルは、斜面を利用して築造しますが、当日築造した斜面の様子です。事前に築造する斜面に十分な深さ(2~3m)、奥行き(3m)の雪があることをプローブなどで確認します。
また、斜面が雪庇でないことを確認するため、表面の雪を除去して、出入口を深く掘り下げ、亀裂がないことを確認します。

出入口として斜面を深く掘り下げた状態です。ここから、雪の堅い層(茶色の線から下側)を、奥に向かってアーチ状に掘ります。
強度を保つために、天井は水平に掘らず、必ず、アーチ状に掘ります。

堀込式イグルの出入口。幅130㎝、高さ110㎝程度で、とりあえず、奥行き1mほどを掘削。
この後、上部にイグルを築造して、下方に掘り進め、掘った雪は、この出入口から排出します。

出入口の上に登って、内径140㎝で基礎ブロックを積み、所定の深さまで下に掘り進めた後、スキーを梁にして渡し、厚さ10㎝程度の雪板で屋根を葺く(雪で覆う)。

内部から見た屋根の構造。スキーを梁に渡し、雪板を用いて、「屋根を葺く」様子が分かります。

堀込式イグルの完成です。雪が固いため、築造時間にとんでもない時間を要しました。
この後、ツェルトを設営するために、内部を成形し、出入口からの隙間風を防ぐため、雪のブロックを積んで「玄関」とします。
また、玄関とツェルトの間の床面を20㎝程度掘り下げ、靴脱ぎ場とすれば、出入りが容易となり、ツェルト内に雪を持ち込むことも少なくなります。

内部から出入口を見たところ。出入口は雪の「トンネル」となっています。
天井を見上げなければ、横穴式雪洞と同様ですが、天井は雪のブロックで塞いでいます。
横穴式雪洞で暖を採る場合、換気が課題となりますが、堀込式イグルでは、屋根と出入口の2箇所が通気口となり、換気不良の心配はありません。

堀込式イグルの完成後、内部にツェルト(幅130㎝、高さ110㎝、長さ210㎝)を設営するため、ツェルトの形に合わせて整形します。
奥の縦の堀込みは、ツェルトを設営する際の支柱(ストック)設置用です。

成形後、隙間風を防ぐため、出入口の両側と上にブロックを積み、出入口を最小限の大きさとします。夜はこの出入口をザックで塞ぎ、室内を密閉します。

堀込式イグルの内部にツエルトを設営した状態です。
ストック2本をツェルトの支柱とし、インナーポール3本を使用して、幅130㎝、高さ100㎝、奥行き200㎝のカマボコ型空間が完成しました。
南八甲田の標高1250mに極めて快適な居住空間が出現しました。
横穴式雪洞では湿度が高いため、物が乾かず、また、雪が解けるため暖を採ることも困難ですが、昨シーズン、横穴式雪洞の内部にツェルトを設営して泊まったところ、極めて暖かく、物も乾いたことから、今回、堀込式イグルの中にツェルトを設営してみました。
通気性があるため、夜半、風が強くなると若干ツェルトが揺れましたが、結果としては、とても暖かく、物も良く乾きました。雪が堅いと堀込式イグルは築造に時間を要するため、来シーズンは、積上式イグルにツェルトを設営して泊まる予定です。

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