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東尾根ー赤石岳

年末年始は剱岳を予定していた。今年は少雪なのでたぶんラクなんだろうなと思ったが、予報を見ると思わしくなかった。アタックできる天気は1月1日の1日のみ。直前に雪がたくさん降ったので私達のレベルでは1日では無理かなと思った。また強風と雪崩れも予想されたので、仲間と相談し、赤石岳に変更した。

 

【12月31日】 晴れのち曇り、強風
畑薙ダム沼平ゲート(3:15)ー椹島登山口(8:35)ー東尾根ー赤石小屋泊(15:25)

 

前夜は、畑薙第二ダム入り口にある白樺荘に宿泊。くねくねと曲がりくねった林道を車に乗っていたら酔ってしまった。思っていたよりも遠く、南アルプスの山の奥深さを改めて知ることになる。白樺荘はとても設備がよく、安眠できた。

赤石岳は、夏に1度登っただけだったが、とにかくでかいし深い。Aさんは正月に数回登っているとのことで、その景色は素晴らしいと太鼓判を押していた。冬季はバスも通っていないので、ひたすら林道歩きだとのこと。「核心は1日目だから。1日目に小屋まで行けたら大丈夫。」と言われていたが、その林道は、長くて長くて本当にいやになった。

東尾根に乗っかると、急登が始まる。「南アルプスは小屋がきれいだし、冬季も泊まれるのでいいよ。」とのことだった。小屋泊まりということもあり、気がラクでついついいろんな物も入れてしまっていていた。

東尾根も5回ほどギャップがあり、とっても長かった。誰にも会わず、小屋も貸し切りだった。小屋からは一人のトレースがあり、単独者が向かっているようだった。
夜は鍋を囲み、年越しをした。風が強く、小屋をたたく音が夜通ししていたが、夜中に単独者が帰ってきて、外でテントを張ったようだった。

 

【1月1日】 晴れ
赤石小屋(3:25)ー富士見平ー冬季ルートーラクダノ背(6:00)-小赤石岳ー赤石岳(8:45)-赤石小屋(13:30)

 

まだ暗かったが、テント前に向かって「トレースありがとうございます。」と声をかけたら、「核心手前までしか行けなかった。」とのこと。核心とは、ラクダノ背のことである。そこまでトレースをつけてくださっただけでも、感謝感謝だった。今日は疲れてもう下山するとのことで、申し訳なくなる。
南なので森林限界が北アルプスよりも高く、樹林帯をかなり登る。灌木をつかみ体を引き上げ、急登を登って行く。少雪なので、灌木の隙間に足をとられ、登りにくかった。富士見平までも随分遠く感じた。
ご来光が上がり始め、漆黒の闇から富士山が浮かび上がった。その色彩、景色はまるで宇宙にいるかのように思わせてくれるほど、美しかった。山ではなく惑星として、自分の居場所を感じるなんて初めてだなと、感動した。Aさんの言うとおり、本当に素晴らしい時間が流れていった。
富士見平を過ぎると夏道を離れ、冬季ルートへ。夏道はルンゼをトラバースするので雪崩れの危険があるからだ。冬季ルートは稜線を行く。
核心のラクダノ背に来たところで、ご来光が水平線から登り始めた。相棒をビレイしながら、Aさんとご来光を拝んだ。
ラクダノ背は、フィックスがあるものの雪に埋もれているので安全性は確かではなく、やっぱりロープが必要になる。単独だとフリーで登るのは難しいし怖いなと感じた。
赤石岳はすぐそこに見えているが、稜線に目をやるとまだまだ遠いなと思った。それでも、ラクダノ背を越えると灌木もなくなり快適な稜線歩きだった。少雪なので雪庇はそれほど大きくないが、注意してトレースをつけていった。もし踏み抜いて落ちるなら南西側のほうがまだ助かるかなと思いながらも、自分の力で道を作っていくのは気持ちがよかった。
小赤石岳(3081)まで来ると小渋川ルートから登ってきた人のトレースがあり、少しほっとする。雪も締まっていて、赤石岳(3120)までもすぐだった。富士山、聖岳、南アルプスの山々、槍穂も美しかった。 穏やかな2020年の幕開けだった。
下山時、ラクダノ背は懸垂。冬季ルートの分岐までくると今朝とは違う単独者の方が登ってきた。(その夜、その方も核心登れず敗退してきていた。単独ではやっぱり難しい。)
途中で、各自の携帯に友人から連絡が入っているのに気付く。なんか胸騒ぎがして携帯が通じるところで確認したところ、剱岳に入っていた知り合いが滑落したとのことだった。複雑な気持ちで小屋に戻った。

 

【1月2日】 晴れ
赤石小屋(6:45)ー椹島登山口(9:45)ー畑薙ダム沼平ゲート(14:40)

 

帰りも、行きと同様、長かった。林道が長くて長くて、いろんなことを考えながらただただ歩いた。
南アルプスは、やっぱりでかい、深いというのが一番の感想。林道歩きが長くてアプローチ遠い。そして空気が乾燥しているからか、けっこう寒い。なんと言っても、富士山がきれいに見える。そこが一番の魅力なのかな。

 

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