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ジャンダルム飛騨尾根

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【5月2日 快晴】
新穂高-白出沢-天狗沢-F尾根-EL2590
いろいろと候補がある中、相棒の「名前がかっこいい。」というミーハーな理由から、ジャンダルム飛騨尾根に決定する。
天狗沢は、落石の巣と聞いていたが、本当に落石の残骸だらけだった。F尾根を登っていても、ゴーン、ガラガラガラ…と不気味な音が時折響く。テン場適地までおよそ1400mも登れるのだろうかと心配したが、EL2400過ぎると見晴らしがよくなり、飛騨尾根が見えてくると疲れも吹っ飛んだ。

【5月3日 晴れ後曇り】
F尾根EL2590-飛騨尾根-ジャンダルム-奥穂高岳-白出のコル
前日の疲れからか、今日も天気がよいと過信しすぎていたからか、少し寝過ごしてしまう。これが後悔の始まり。
F尾根から沢をトラバースし、飛騨尾根に取りつく。トラバース中、落石に当たってしまい左手を打撲するが、曲げ伸ばしできるのでほっとする。飛騨尾根への取りつきは浮き石だらけで、見た目よりもとても大変だった。
飛騨尾根へ上がるとハイマツ帯から徐々に岩稜へ。ぜんぜん雪がなく、アイゼン履く意味があるのだろうかと思うほどだった。ジャンダルムへ突き上げる尾根をひたすら登る。あのピークを越えればジャンダルムと思って辿り着くも、まだか…とがっかりすることを何度も繰り返す。疲れてペースも遅くなり、全装備担いできたことを後悔する。天狗沢出合でBCを張って軽荷で来たらもっと楽だったろうなと、あれこれ思う。
そうこうしているうちに一気にガスが湧いてきて、真っ白になってしまい、ジャンからの360度の展望もお預けになった。
予想していた時刻よりも随分遅くジャンに着いた。やっと着いたのに、あまり感動がない。それは、ここからが本当の核心という人もいるからだ。
ロバの耳からの50mの懸垂を終え、ほっとしたのか、なんでもない雪面のトラバースで相棒が30m程滑落する。あのまま沢に吸い込まれてしまったらどうしただろう…。
右足を強打したため、さらにゆっくりと慎重に奥穂高岳へと登る。馬の背を越えて奥穂高が見えたとき、ほっとしたのか涙があふれてきた。これでやっと飛騨尾根のゴールだと思った。いろいろなアクシデントがあった中、こうして無事に辿り着いたことに感謝する。
ヘッテンを点けて下山。白出のコルの穂高岳山荘の明かりが温かく感じた。

【5月4日 雨】
白出沢-新穂高
相棒の足のことを考え、涸沢岳西尾根を諦め、白出沢をゆっくり下山する。飛騨尾根を少し甘く見ていたことに反省しながら。今年はアルプスも雪が少なく、お得な年だったが、課題だらけの山行だった。嬉しさと悔しさが入り交じった飛騨尾根だった。

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