【3月7日】 晴れのち曇り
八方池山荘(8:35)ーⅠ峰尾根枝稜(10:30)-Ⅰ峰尾根合流(16:30)-Ⅰ峰山頂泊(20:20)
前夜の新幹線は、新型コロナウイルスの感染防止のため外出を控えているせいで、やばいくらいガラガラだった。
ところが今朝の八方尾根スキー場には、運行前からスキーヤーと登山客が入り交じり、長い行列ができていた。後立山連峰をバックに滑れて、とても気持ちがよさそうなスキー場だ。今日は天気がよいので、唐松岳の登山者も多かった。
ゴンドラとリフト2回乗り継いで八方池山荘へ到着。標高を一気に稼ぐ。らくちんはここまで。
八方尾根をしばらく登って、八方枝尾根手前からトラバースしながら唐松沢に下りる。不帰Ⅰ~Ⅲ峰が青空に映えて、初めて見る景色に心が躍った。静寂の世界にOさんがトレースをつけていく。誰でも踏み入ることができるエリアではないという空気を感じることができた。
Ⅰ尾根へ登り上がるのはとても急峻なルンゼの雪壁を登る。こんな急斜面、登れるのだろうかと見上げるが、登るしかない。3月なので雪も締まって、思ったよりは怖くなかった。でも、フル装備なのできつかった。自分はハンデをもらってテントもロープも持ってもらっていたので、きついとは言えないが、きつかった。
雪壁の登りが終わったかと思ったら、トラバースやナイフリッジ。スノーバーで気休めの支点をとりながら、スタカットで渡る。そしてまた急峻な雪稜を登る。。。の繰り返しだった。なんか久しぶりにガチのアルパインやってるなと、実感した。左手にはⅡ峰尾根が見え、Ⅰ峰よりもさらに斜度がある三角形岩壁が威圧感を出していた。
稜線に合流した時、私達は致命的なミスを犯したことにやっと気がついた。どうやら不帰Ⅰ峰尾根の枝尾根に取り付いて登ったらしく、Oさんのお目当ての断壁は合流した本尾根のこの下にあるようだった。Oさん、ショックでがっくり。そこが本ルートの核心(クラックまたは凹状)で、それを登りに来たのに。。。きっと登れない私のために、わざと易しい枝尾根ルートで登ってくれたのだろう。。。と、思うことにしよう。私的には、枝尾根でも大変だったし、この絶景を見れたので全然満足だった。自分の資料には詳しく書いてはいなかったが、断壁は3ピッチあり、1ピッチ目が核心とのとこと。
合流してからは少し傾斜も落ちたが、ナイフリッジではまたスタカットで登った。
Ⅰ峰の頭は丸っこくて、遠目では難しくなさそうだったが、近づくにつれてどうやって山頂に行ったらいいのだろうとルートを相談した。急な雪壁状だがブッシュがあるので直登することにする。
時刻は18時を過ぎていた。ヘッテンを点けてOさんリードして行ったが、途中でロープが止まって苦戦しているようだった。1ピッチ目で切り、行ってみると、ブッシュを手がかりにしても、とても登りにくい。相談して、2ピッチ目はザックをデポして空身でリードすることにした。Oさん、主稜線上の雪のギャップも弱点をついて乗越し、なんとか抜けたようだ。続いて行ってみるも、ザックを背負っての登りは本当にきつかった。
主稜線に出ると、麓の町からちょうど花火が上がるのが見えた。試練の後のご褒美のように感じた。冬の花火、しかも稜線で見る花火は、かなり趣があった。
Ⅰ峰の頭は思っていたよりも広く、テントを張るのには十分だった。風も無く穏やかだった。雪をとかして水を作って食事をし、就寝したのは24時少し前だった。
【3月8日】 曇り
Ⅰ峰の頭(7:30)-Ⅱ峰-Ⅲ峰-唐松岳(11:45)ー八方池山荘(13:45)
昨日とは変わってガスの中。Ⅰ峰の頭からは夏道を行く。雪は飛ばされて、うっすらと登山道と分かる。それでも、ルンゼのトラバースは支点を取りながらスタカットで、岩稜の登りもスタカットで登った。
10年以上前に1度だけ、夏に縦走した時はそんなに難しいとは思わなかった岩稜の登り。今日は雪を掘り起こして探すも支点が見つからず、少しの岩の段差や割れ目にアイゼンの前爪を食い込ませながら登った。冬は格段に難しくなるなと感じた。
Ⅱ峰の頭を越えたら難所はなく、唐松岳まで歩きで。
やっと着いたー!おかげさま。ありがとう。久しぶりの本気のアルパインは、しびれた。でも、楽しかった。
たくさんの登山者のトレースで、下山はらくだった。帰りも、リフトとゴンドラを使って無事下山。
断壁をカットしてしまい、また宿題が増えてしまった。いつか正規ルートでⅠ峰に登り上がりたい。
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