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南八甲田周遊

【山行時間】

(10日) 08:45城ケ倉大橋-11:40横岳下‐12:30櫛ケ峯北麓‐14:00駒ケ峯‐14:45ニセ駒‐15:10猿倉岳‐15:20猿倉岳下テント場 16:00テント設営終了 20:00就寝

(11日) 05:20起床 07:30テント場‐08:10乗鞍岳指導標No.20-09:05乗鞍岳‐10:10赤倉岳‐11:55テント場12:20-13:00櫛ケ峯指導標No.266-13:50傘松峠-14:30水道敷-15:00酸ヶ湯

 

【山行記録】

今年の南八甲田周遊は、城ケ倉大橋から登って南部赤倉岳まで、南八甲田の西端から東端まで足を伸ばして酸ヶ湯に帰る周遊計画。赤倉岳に登ることを最優先にした行程のため、南八甲田の主峰櫛ケ峯への挨拶は欠礼することとなった。

 

気象庁のアメダスによれば、酸ヶ湯は8日夕方から雨が降り始め、9日までの降水量は36㎜、9日の最高気温は10℃となり、積雪深は395㎝から367㎝と約30㎝の減。しかし、10日は一転して最高気温が△5℃となり、10日朝の城ケ倉大橋出発時は雪面がガリガリでスキーのシールが利かず、難儀することしかり。これは11日の午後に傘松峠に着くまで続いた。

 

今回は同行者に、門外不出の自作地形図「南八甲田周遊地図」を渡した。これは、櫛ケ峯コースや乗鞍コースの主要な指導標の位置と番号を1/25000地形図に記載したもので、数年にわたり、師匠の南八甲田山行に同行して現地を確認しながら作成したものである。これを同行者が持てば、いま指導標はNo.〇〇なので現在地はこことか、〇〇から〇〇までコンパス〇〇°と言っても、直ちに意思の疎通と情報共有ができる。

 

城ケ倉大橋から150°で逆川岳を目指して登り、標高1150mで大きく右に曲がり、くの字湿原に出る。ブナ林を抜けて湿原に出ると視界は200m程度と、ほとんど視界が利かない。ここから220°で横岳を目指すが、横岳山頂を踏むと、山頂直下の南斜面は急斜面のほか斜面が固いことから滑落のおそれあり。よって、標高1300m付近から横岳東斜面を南下してガチャポッチに続く尾根にでることとする。横岳東斜面には、ほどよく積雪があり、難なくスキーで斜滑降することができた。エッヘン。

 

次の難所は櫛ケ峯の北麓の通過。櫛ケ峯に登るのであれば、標高1350mの北肩に登るのであるが、今回は登らないので、櫛ケ峯北麓の逆川支流の沢を迂回しなければならない。以前、師匠と同様に迂回したことがあり、その際には沢の最上流部はスキーを担いで超えたが、今回もほぼ前回と同様の地点でちょうど沢を渡ることができた。やれやれ。

 

駒ケ峯に向かって尾根を登り始め、指導標No.97を確認。駒ケ峯の手前で雪に埋まったNo.134を経て、駒ケ峯に到着。昨年は雪をまとい、南八甲田の貴婦人の様相であったが、今回は昨日の雨ゆえか、トドマツが薄く雪化粧しているのみ。ここからニセ駒に向けて駒ケ峯の東大斜面を下るのであるが、先頭の同行者は、ボーゲンのまま、「コントロールが利かない」と大声を張り上げ直滑降状態。これを見て、小生は山頂でスキーを担ぎ、鞍部まで歩いて下りた。スキーで難儀しながら降りた他の同行者よりも早く鞍部に着いた。

 

ニセ駒のNo.187を確認し、猿倉岳に向かう。今日のテント場は猿倉岳山頂の乗鞍岳寄りに計画しているので、猿倉岳山頂手前でザックを下ろし、空身で猿倉岳に向かう。猿倉岳の指導標はNo.230であるが現在は確認できない。ここからパラダイスコースに向かって指導標が続いており、山頂の北側に折り返しのNo.231が確認できた。

 

ザックデポ地に向かって引き返していると、ニセ駒方向から空身の山行者が続々と姿を現して、総勢10名。見たところ、大学の山岳部にしては、装備は軽いが、大きなシュカブラもスキーでスイスイ越えるところは、単なるハイカーでもあるまい。近づいて話かけると、大学生とのこと。どちらの大学ですか?との問いに、東京大学との回答。「東京の大学」ですか?との間の抜けた再質問に「東京大学」との再回答。世にいう「東大」のワンダーフォーゲルでした。昨日まで仙人袋小屋を基点に北八甲田を歩き、明日は櫛ケ峯を経て城ケ倉に下りる3泊4日の山行とのこと。

 

ザックを回収して猿倉岳の南側に下降し、標高1300m付近に、勾配が緩やかで、ちょうどトドマツの陰になる適地があり、ここをテント場に定める。スコップでテラス状に削り、北西方向に風除けとしてブロックを積み、16時、全員でテントに入った。正面は乗鞍岳であるが、ガスで見えない。

 

ガソリンバーナーに着火して火を起こし、雪を溶かして6Lの水を作る。今回は、水作りは同行者に任せ、ブロック積みで疲れた体を休めた。肉と野菜の具沢山な鍋を準備して夕食を食べ、最近、年をとったら性格がずぼらになったとの話題に、それは年のせいではないだろうと反論すると、幼稚園のころはハンカチの隅がきれいに直角でないと気がすまず、母親にくってかかったほど几帳面であったとのこと。几帳面の例えにも、いろいろあるものです。

 

就寝時、同行者が新調したシュラフを披露。シュラフカバーの不要なナンガのオーロラで、荷を軽くするため、ダウンは600g程度。山は厳しく冷えたこともあったが、翌朝の同行者の感想は、やや寒かったとのこと。小生のオーロラは900SPDXで、これを使用して以来、厳冬期の単独テント泊でも寒さを感じたことはないが、荷はかさ張る。しかし、50才を過ぎて、寒さが身に応えるようになったので、重くてかさ張っても、小生は暖かさ優先である。

 

翌朝、5時に目覚ましをかけ、5時に目覚ましが鳴ったにもかかわらず、目覚まし係りが起きなかったため、起床は5時20分となる。外に出ると、ガスが晴れ、乗鞍岳が正面にどっしりと控えている。天気予報に反して、今日は良い天気らしい。

 

昨日は終日、スキーでのガリガリの雪面に難儀したので、乗鞍岳、赤倉岳への登頂はワカンとし、ワカンを持参しなかった同行者はツボ足で歩くこととした。朝食を済ませ、荷造りをしてテントを撤収。風除けに積んだブロックは傾きもせず、直立不動の姿。当方もねぎらいの言葉をかける。

 

サブザックを背負い、乗鞍岳に向かって下降し、矢櫃沢を超えて標高1244m地点に登り、夏道沿いに乗鞍岳コース指導標No.20を確認。ここから山頂目指して、ほぼ直登を始めた。同行者のスキーブーツは滑走を重視したものらしく、急斜面を前傾姿勢で登るのはつらいとのこと。一方、他の同行者のスキーブーツは歩行を重視したものらしく、ツボ足で難なく急斜面を登る。小生は皮革登山靴なので何ら問題ないが、緩やかにジグを切りながら登ることにした。

 

快晴の空のもと、難なく乗鞍岳に登り、同行者は戸来岳や十和田三山、十和田湖に向かい、「今年も乗鞍岳に登ったよ」との歓喜の叫び。乗鞍岳から赤倉岳に向けて急斜面を下る際も、「ヤッホー」と大声を出していたが、同行者曰く、「年を取ったら声も小さくなった」とのこと。小生には全く年齢を感じさせない声である。

 

先週、東側の蔦温泉から登った赤倉岳に今日は西から登り、1週間で2度も登ってしまった赤倉岳山頂。山頂から南北ナガムデに囲まれた赤沼や蔦沼を眺め、しばしの休憩後、山頂を後にする。乗鞍岳との鞍部まで往路を戻り、鞍部から標高1250mを維持して乗鞍岳を回り込み、指導標No.20に戻り、往路を辿ってテント場に帰った。

 

乗鞍岳に向かって腰を下ろして食事をとり、最後の帰路につく。尾根まで登り、パラダイスコース目指してコンパスを合わせ、櫛ケ峯コース指導標No.266をめざす。途中、数枚の指導標と補助板を確認し、No.266に到着。この下は急斜面でガリガリのため、スキーを担いで、ツボ足で100mほど降下して沢の中に入ると20㎝ほどの新雪となり、チャンスとばかりにスキーを履いてコース沿いに滑走。

 

いつもテント場にしているNo.275前で、ここが去年のパラダイスコースのテン場と説明すると、あら、そうなの、との反応。毎年のように冬場ここにテントを張るのに、頭に残らないらしい。沢の出口でNo.285を確認し、傘松峠目指してコンパスを真北にセット。沢を抜け出ると、迷岱の吹きさらしは、やはりガリガリの雪面。傘松峠手前から西に延びる沢に入って水道敷に抜けるルートもあるが、雪が固いと難儀するので、国道沿いに歩くことにする。

 

傘松峠はまだ除雪前であるが、石倉岳付近から除雪が始まり、水道敷ではアスファルトが露出していた。泊りのザックにスキーを括り付けて背負うと20㎏以上となり、肩と腰に負担が掛かるが、あと30分と気力を振り絞り、八甲田ホテル前のゲートを抜けて、予定よりも30分早く酸ヶ湯に到着。とても疲れたが、計画どおり歩くことができ、満足のいく山行となった。私事都合により、今冬は泊り山行はしないと宣言した同行者も、疲れたけど、やはり山はいいな、との一言。足並みの揃う山仲間3人で南八甲田を大胆に歩いた2日間であった。

 

酸ヶ湯で車を回収し、城ケ倉大橋に向かって走っていると、数人の若者が小走りでやってくる。昨日の東大生である。声を掛けると、酸ヶ湯に置いた車3台を回収に行くところとのこと。大澤と原子を城ケ倉大橋で下ろし、再度、3人の若者を路上で拾い、酸ヶ湯まで届けた。見かけによらず礼儀正しい若者たちであった。酸ヶ湯から入り、仙人岱小屋を基地に小岳、高田大岳、大岳と登り、硫黄岳を経て傘松峠から南八甲田に入り、ニセ駒付近にテントを設営して猿倉岳まで足を伸ばし、最終日は駒ケ峯、櫛ケ峯、横岳、逆川岳を踏んで城ケ倉大橋に下りたとのこと。10人の大所帯でまとまって歩くには、リーダーの苦労もあろう。

 

蔦温泉から赤倉岳までは先週の日帰り山行で地形を把握し、乗鞍岳から赤倉岳までは今回の山行でルートを確認できた。今回は時間の都合で南八甲田の主峰櫛ケ峯には登ることができなかったが、来年は、南八甲田の山々の全ての頂上を踏んで、蔦温泉に下りる縦走に挑戦する予定である。

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