メンバー:リーダーO谷、taizo、ふくろう(記録)
前週は増水のため、常徳沢までの渡渉訓練で終わった大川でのo谷沢道場。今度こそと当初予定だったヨドメの滝を目指しました。




こんなに豹変するとはわかっていても驚きです。前回2時間かかってたどり着いた常徳沢出合いには20分で着きました。





いくつもの支流が滝となって本流へ流れ込んでいます。それらを眺めながら渡渉を繰り返し、上流へ。白神の豊かな水は、ブナ林の水源涵養(かんよう)の高さゆえ。ブナの森は「緑のダム」と呼ばれるほど保水力が高く、多少の雨や日照りはもろともせずに、常に一定量を沢へ供給しています。
しかしここ数年は、線状降水帯などの異常な雨の降り方で、それらの機能が破綻することが増えたように思います。(洪水撹乱は自然界にとって決して悪いことではないのですが、しかしこの夏は暗門の滝や奥入瀬渓流の遊歩道は大きな被害を受けました🥲)





念願のタカヘグリ(と昔のマタギが呼んだゴルジュ帯)へ突入。近年は水位低下が著しいとのことでしたが、この日私が体を張って確認した感じでは、足が届かない程度には深かったです!
O谷さんがハーケンを打って、ロープでふりこトラバースできるようにしてくれました。



タカヘグリの中に、2mほどの滝とも言えない小滝があります。その滝壺は深く、また水が渦を巻いていて、水中に引っ張られて浮き上がることができないのだそうです。私は泳げないし子どもの頃プールで溺れた経験もあるので、滝つぼは大小関係なくとにかく恐ろしく感じるのですが、同時に怖いもの見たさの好奇心も発動するので、プラマイ0でこれまでやってこれてる感じです。





スタートから4時間半でようやくヨドメの滝に到着。水量はかなり多く感じました。
第一印象は、「瀑(ばく)!」
それ以外に形容しがたく、ここを登るなんて考えもしないです。
しかしここでO谷さんは登攀準備。
登るかもと事前に言われていたので、わかってはいたけれども、けれども、、まじで行くんすか?この瀑を??
猿も木から落ちると言うし、万が一こんな山奥で救助を要する事態になったら…と考えたら、緊張でお腹が痛くなってきました。
しかしお師匠さんは、一応「(岩が)滑るようなら戻るから」とにこやかに私を安心させつつ、登攀を開始しました。
乗りかかった船だ、私も自分がすべきことに集中。(落ちた時にすぐさまロープを引っ張れる位置に立ち、登攀に少しでもロープの重みが影響しないよう水面にほんの少しロープをつけておく、というささやかなサポートを😅)

じわじわと高度を上げていきます。これまで何度もO谷さんの登攀を見てきましたが、登りかたはとても慎重です。ある時はハーケンを打てる隙間を探し、あぶみを作ったりさまざまな工作をしながら、30分以上壁に張り付いているのをひたすら待ったこともあります。フリーで登れない危険な場所に、長時間い続ける体力と、冷静に対処していく忍耐強さは私には想像も及ばないところです。
さっきまでお腹が痛い、と情けない声を上げていた私でしたが、今やもう、師匠の登った道を我も続こうではないか、と闘志が燃え上がっていました。oさんが登り終えて支点を作る間に、私はロープ末端を自分に繋ぎ、スタンバイオーケイ。
ロープで繋がれていれば何ら怖いことはありません。トップとセカンドでは難易度に雲泥の差があるのです。私は安心なセカンドで登りながら、これを命綱なしで登ることを想像して、到底不可能と思いました。
登り終えるととても嬉しそうな表情のO谷さんがいました。(ほら、登って良かっただろう?)と言いたげな誇らしげな良い表情をしていました。O谷さんは初めからここを登ることになんの不安もなかったのだとわかりました。
O谷さんは努力の人です。人一倍努力をしてきたからこそ、今もなおこんな登攀をやってのけるわけで、私たちにも努力の先に見える景色がどんなものかを、少しでも教えようとしてくれているのかな。
続くタイゾーさんもいつもと違っていました。いつもなら(このくらいワーは余裕ですよ)という感じで軽々と登ってくるのに、この時は私以上に慎重に、一手一手を確かめながら登っているように見えました。おそらく今後リードで登ることを想定してやっているのでしょうか。









行きと同じ長い道のりを引き返します。
帰りは谷にも日が差して、一層美しい渓谷になりました。
紅葉の時期も良さそうだし、真夏に泳ぎながら行けるところまで行くのも良いだろうな。とにかく素敵な沢でしたし、支流もあちこち気になりました。
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