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錫杖岳烏帽子岩前衛フェース左方カンテ

錫杖岳は、その名前から先鋭的なクライマー達が通う岩場という勝手なイメージがあり、もっとレベルが上がらないと行けないと思っていた。近年は、不必要な残置支点を撤去し、あえてナチュラルプロテクション主体のルートが増えているとのこと。今まで経験してきたルートのように、ハーケンやボルトが要所に打たれているわけではないのでハードルは高いと思うが、一番人気の左方カンテに挑戦することにした。

 

【10月9日】 雨のち曇り

新穂高中尾温泉口P13:55 - 笠ヶ岳クリヤ谷登山道 - 錫杖沢出合15:55

 

9月の連休に続き、この連休も雨予報。
夜中に前線が通過し、朝から天気は回復するとのことだったが、前線通過が遅れているみたいだ。昨日は持ちこたえていた雨が、夜明け前から降り出してきた。降るなら早く降ってくれと思っていたが、一番悪いパターンになってきた。この調子だと午前中は降り続く感じだった。
相棒と合流し、どうするか相談する。小川山に逃げるか…。早い回復を期待して、錫杖にするか…。一日いっぱい降られると、翌日でも岩は乾かないので、たとえ明日晴れても登ることはできない。
相談した結果、小川山に車を走らせた。しかし、川上村まで入ったところで、空が明るくなり青空まで見えてきた。前線が通過したと感じることができた。
申し訳ないが、新穂高まで戻ることにする。文句も言わずに引き返してくれた相棒に、当分、頭が上がらないだろう。

 

新穂高中尾温泉口バス停裏Pに着き、急いで支度をして、クリヤ谷登山道を行く。 沢沿いをずっと歩き、途中、靴を脱いで渡渉する。水は冷たかったが、まだ我慢できた。
対岸に渡ってからも、また沢沿いにクリヤ谷を登って行く。

明るく開けてきたら、錫杖前衛フェースが見えてきた。小川山に初めて行った時も岩峰に囲まれた景色に圧倒されたが、それに似た雰囲気だった。思わず「すごい!かっこいい。」と、つぶやいてしまう。
錫杖沢出合までは1時間強と資料にはあったが、渡渉もあり、結局2時間かかった。
出合は思っていたより狭く、テントは6張くらいが限界だろうか。すでに3張あった。土曜日から入っているが、雨のため2日、停滞しているとのことだった。

 

【10月10日】 晴れのち曇り

錫杖沢出合 6:15 - 前衛フェース基部 7:00 - 7:10 左方カンテ 7ピッチ目終了 10:45- 懸垂下降終了 11:45 -12:35  錫杖沢出合 13:05 -クリヤ谷登山道 - 新穂高中尾温泉口P14:10

 

先行パーティは日の出と同時に取り付きたいとのことで、早出していった。岩が乾くのに時間がかかると思い、自分たちはもう少し遅くテントを出る。テントから顔を出すと、錫杖がすっきりと見えていた。
出発するとすぐに若者2人が来た。慣れていそうなので、後をついていく。錫杖沢に入ってすぐ右の道へ入った。途中、二つに分かれていたが、右へと登っていった。

振り向くと、西穂~奥穂の稜線が見えた。穂高をバックに登攀するなんて、いつもとは逆のシチュエーション。

第一ルンゼの取り付きに来て、若者たちはザックを下ろした。 そこから5分くらい行ったら、左方カンテの取り付きだった。

 

先行パーティは1時間も前に出発していたのに、まだ1ピッチ目を登っていて、びっくりする。(後からわかるが、このパーティはガイドパーティで、テン泊したパーティとは違った。)
そうしているうちに、後方パーティ2が続々到着し始める。先行パーティが落石をして、よける。混んできて、ばたばたと準備をし、焦ってスタートする。

 

【1ピッチ目】ルンゼ 40m Ⅲ K
傾斜は緩いが、大きい岩なので少し大変だった。資料には岩溝より左の岩稜を登った方が落石をさけられ気持ちいいと書いてあったが、岩溝を登ってしまったせいで、落石をしてしまう。後方パーティに、申し訳なかった。

 

【2ピッチ目】ルンゼ 40m Ⅳ H
相棒が1ピッチ目を長めに切ってくれたので、思ったより短くて拍子抜けする。
終了点のピナクルテラスは、順番待ちでごった返していた。写真も思うように撮れず仕舞いだった。

 

【3ピッチ目】ピナクルの頭からスラブ上フェース右上 30m Ⅴ K
自分的にはこのピッチが一番難しいと思った。傾斜の強いフェースを右上していくが、張り出しているからか高度感があり、セカンドなのに少し怖く感じた。

 

【4ピッチ目】バンド 20mⅡ、チムニー 30m Ⅳ+ H
先行パーティは、湿ったチムニーでとても手こずっていたが、残置カムがあったので、ラクだった。

 

【5ピッチ目】チムニー左のフェース カンテ状 40m Ⅳ+ K
ガイドパーティはどのピッチも時間がかかり、帰りの電車の時刻と闘っている自分はいらいらする。壁を見つめながら時間がどんどん過ぎてゆく。この連休は最後のチャンスなので、敗退はしたくない。
クラック沿いに直上もできそうだが、左のフェースを登る。一見ホールドが豊富に見えるが、登ってみるとそう簡単というわけではなかった。豊富にあったボルトは今は取り外され、難しくなっているとのことだった。ガイドさんはカムを左のカンテに取って、右上していた。灌木でビレー。

 

【6ピッチ目】かぶった凹角、大チムニー、クラックの走ったフェース 40m Ⅴ+(A0)H
時間がかかるので…と、ガイドパーティが先を譲ってくれる。ありがたい。
ここが核心。自分がリードすることにする。相棒が1ピン目にロープをかけてくれ、出だしの小垂壁を思い切って登れるようにしてくれる。だが、ムーブがいまいちわからず難しそうだったので、あっさりA0した。その後は、クラックの走ったフェイスを快適に直上。左へ回り込み、右のリッジをレイバック気味に登ると少し平らな終了点。気持ちよかった。

 

7ピッチ目(資料では8ピッチ目)のスラブは濡れていた。帰りの電車の時刻もあるので、ここで終了とする。ガイドさんも、だいたいいつもここで終了すると言っていた。
懸垂下降は、「注文の多い料理店」のルートがある北沢側へ下りる。ルートを見ると、難しそうだった。ここを登れるのはいつになるだろうか。

 

錫杖沢出合へ戻り、テントを片付け、登山道を急いで下りた。この晴れの1日のおかげで、無事に錫杖を登ることができた。激混みだったが、ありがたい1日だった。
これで今年の目標3つ目を達成。残るは、黒伏山南壁中央ルンゼ。頑張るぞ。

 

 

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前衛フェイス
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錫杖沢出合
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穂高をバックに
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4ピッチ目の先行パーティ
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6ピッチ目

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